
東京・神奈川でボンボンショコラ専門のチョコレート教室を主宰している仙田きょうこ(きょんちょこ )です。
板チョコレートや製菓用チョコレートには、カカオ以外の材料ももちろん使われるのですが、具体的に何が使われているかって意外と知らないですよね。
そこでこの記事では、チョコレートそのものが製造されるときの原材料について解説します。
カカオの他に何が使われているのか?を一緒に見ていきましょう!
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チョコレートの原材料は何?
チョコレートはカカオだけで作られることはほとんどありません。
必ず他の材料が使われまして、代表的な材料として7つあります。
- カカオマス
- 砂糖
- ココアバター
- 乳製品(脱脂粉乳、全粉乳など)
- 植物油脂
- 大豆レシチン(乳化剤)
- バニラ香料
意外といろいろ使われているのね、という印象を持ったかもしれませんが、どのチョコレートもその7つすべてを使っているわけではありません。
メーカー、お店のコンセプト、作り方によって何を使うかが異なります。
必須のもの・そうでないものに分かれるので、ひとつひとつ解説していきます。
チョコレートの原材料1)カカオマス
チョコレートの製造に置いて1番重要ともいえる原料、カカオマス。

- カカオ豆をローストする
- 粉砕するとカカオニブになる
- カカオニブをすりつぶしてペースト状にしたものがカカオマス
カカオマスはチョコレートの風味を決定づける材料
カカオマスがなぜ1番重要な材料かというと、カカオマスによってチョコレートの風味が決まるからです。
【カカオ分◯◯%】の表記は、
- カカオマス
- カカオバター
この2つがチョコレート全体にどのくらい含まれているかの数字。
カカオマスの割合を増やすことで、カカオ本来の風味が強くなります。
カカオ豆は栽培できる気候が限られているため、似たような緯度の地域で栽培されるのですが、品種や生産地によってかなり風味が変わってきます。
なのでカカオマスがどのくらい含まれているかによって、チョコレートの風味や特徴がはっきりするかそうでないのかが変わってくるのです。
ただ、カカオマスだけでは美味しいチョコレートにはなりません。
私もカカオマスだけを試食したことありますが、ひと口食べて十分という感じでした・・・
なので他の原料を調合して美味しい味に仕上げていきます。
ただし、ホワイトチョコレートにはカカオマスは使われない
カカオマスがないとチョコレートは作れない、と言っておきながら、ホワイトチョコレートには使われていません。
カカオマスは黒いので、ホワイトチョコレートに使うと色がついてしまうからです。
カカオマスが使われていないから、ホワイトチョコレートはチョコレートの香りがしないのです。詳しくはこちらの記事をどうぞ!
チョコレートには砂糖も必須の材料!
カカオマスだけのチョコレートは苦くてそれだけでは美味しいとはいえません。
そこで出てくるのがお砂糖。
砂糖の役目はチョコレートに甘みを加えることです。
カカオマスは苦みが強いためそれだけだと刺激が強すぎるチョコレートになってしまいます。
なので、使う量に差はあれど、砂糖は欠かせない原料なんですね。
砂糖を加えることで、カカオマスの苦みを和らげてくれます。
使う砂糖はメーカーやお店によって様々。
中目黒のグリーンビーントゥバーチョコレートはきび砂糖を使っていると言っていたので、お店によってはこだわっているようです。
[kanren url="https://kyonchoco-wine.com/green-bean-to-bar/"]以上2つ、カカオマスと砂糖がチョコレートの原料として必ず使うものです。
ここから先は使われたり使われなかったりする材料をお伝えします。
チョコレートには乳製品が使われていることも

チョコレートには、乳製品が使われていることもあります。
でも、牛乳や生クリームのことではなく、粉末状のミルク。
乳原料は、味をまろやかにしてくれるという役目があり、ミルクチョコレートやホワイトチョコレートを作る際に登場します。
チョコレートに使う乳製品は液体ではない
さきほどチョコに使われている乳製品≠牛乳・生クリームと伝えましたが、チョコレートを作るうえでの乳製品には、おもに
・全脂粉乳
・脱脂粉乳
この2つです。
つまり、液体は使いません。
それぞれどんなものかというと、
・全脂粉乳は、牛乳を濃縮乾燥し粉末にしたもの。
・脱脂粉乳は、牛乳から乳脂肪分を除去したあとの脱脂乳を濃縮乾燥して粉末にしたもの
いずれにせよ、粉末状です。
カカオマスはそのほとんどが油脂分であるため、乳製品が液体だとうまく混ざり合いません。
なので、水分主体である牛乳や生クリームは使わず粉末状のものを混ぜます。
チョコレートの原材料、カカオバターとは?
カカオバターとは、カカオマスを圧搾して取り出したカカオの油脂分です。
ココアバターということもありますが、同じものです。
カカオバターがどのくらい含まれているかも、チョコレートにおける「カカオ分○○%」の表記につながります。
カカオバターの役目は、強すぎるカカオマスの風味を和らげたり口どけをまろやかにすること。
チョコレートの「すっと溶けるあの口どけ」を作っているのです。カカオバターが入っているか入っていないかの違いで、口どけが大きく変わってきます。
しかし、カカオバター自体は無味無臭ですのでそのまま食べるのはおススメしません。
チョコレートに使われる植物油脂とは?
ここで言う植物油脂は、カカオ以外の植物から絞り出された油脂です。
植物油脂は口どけを調製する役目があり、役目としてはカカオバターに似ています。
カカオバターだと材料費がかさんでしまうので代用品として植物油脂が使われる、といった感じです。
植物油脂が使われている=悪い、というわけではない
カカオバターを使ったチョコレートの方が口どけが良いのですが、カカオバターは高級品なので、その分チョコレートが高くなります。
だからコストダウンのために植物油脂が使われるのですが、「植物油脂=悪い」というわけではありません。
というのも、植物油脂を使うことで便利なところがあるからです。
植物油脂とひとくちに言っても様々で、
融点(口の中で溶ける温度)が低い植物油脂を混ぜれば、アイスと一緒に食べても調和するようなチョコレートに。
逆に融点の高い油脂を混ぜれば、暑い気候の国々でも耐えられるチョコレートになると、植物油脂を使うことで目的に合わせてチョコレートの性質を操作することができるのです!
どのくらい使われているのかは各社の企業秘密なのでわかりませんが、カカオバターか?植物油脂か?はコストの問題のようです。
チョコレートの原料にあるレシチンって何?
レシチンとはおもに大豆などから作られる乳化剤です。
卵黄にも多く含まれていることで有名な成分です。
レシチンはチョコレートの粘度を下げ、扱いやすくするために添加します。
使用量はごくわずかなので、ほとんど味に影響を及ぼさないといわれています。
黄身と同じ成分を使っているってちょっと不思議ですね。
チョコレートの原料にはバニラが使われることも

チョコレートを作る際、香料が使われることがほとんど。
特によく使われるバニラ香料は、甘い香りをつけるほか、カカオの雑味を隠すために使われます。
日本では、バニラの風味が効いたミルクチョコレートが昔から親しまれていますね。
バニラを使うことでチョコレートに特徴をつけることができるのですが、ボンボンショコラを作る際は、あまりバニラの香りが強くないものの方がおすすめです。
チョコレート作りに添加物を使うってどうなの?

植物油脂、レシチン、バニラ香料・・・これらがなくてもチョコレートを作ることはできますが、大量生産のために必要なものもあります。
それに先ほども説明しましたが、植物油脂を使うことで「扱いやすいチョコレート」を作れるのも事実です。
つまり、一概に悪いモノ、とは言えないでしょう。
生産方法やこだわりに応じて使ったり使わなかったりするので、それだけでもチョコレートによって違いが出るのでおもしろいですよ。
原材料の割合は企業秘密
ちなみに、チョコレート作りにおける材料の割合は、各メーカー企業秘密となっています。
原材料の表示は多く使われている順に書かれているので、何が一番使われているかくらいはわかりますが、詳しい割合について公開されていません。
世界を見ても割合を公開しているのはアメリカのあるチョコレート屋さんだけだ、とのことですよ!
まとめ
いかがでしたか。
今日はチョコレートの原料について解説しました。
意外と多くのものを使って作られているチョコレート。
同じカカオ分でも使われている材料によって風味が違うので、買うときに何が使われているかを見てみるとおもしろいかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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